二度と来ない夏と君の笑顔


 太陽の光がジリジリと道路に照らしつける。
 7月になった途端6月の大雨は何だったんだというレベルで暑さが増した。なんなら去年より夏の暑さが来るのが早い気がする。


 高校3年生の夏休み前はどの先生も勝負の夏休みと決り文句のように口にする。もう聞き飽きた。

 俺は大学に行かずに、実家の手伝いをしたいと思っている。単純に受験がめんどくさいんじゃなく、父の手助けをしたいから。父は昔から医者として病院を経営したいるが、父以外の医者はいない。そのため朝から夜遅くまで一人で患者を見てきていた。最近は仕事が終わるなり、ご飯も食べずに寝てしまうことが多々あった。さすがの俺でも心配だ。

 母親は俺が生まれてから数ヶ月で亡くなったらしい。俺は全く記憶にないし、どんな人だったのか父に聞いても、何故か優しい人だったとしか言わない。


 そんな事を考えながら担任が来るのをクラスメイトと話しながら待っている。クラスメイトと話していると言っても俺はただ聞いているだけ。

「おーい、みんな席つけー」

 担任である藤村先生の声でみんなが一斉に席につくと同時にある女の子が藤村先生の後を追うように教室に入ってきた。皆が少しざわざわとし始めたとき藤村先生が口を開く。

「今日からうちのクラスの一員となる七瀬だ。七瀬、自己紹介」

「あ、はーい。七瀬咲希です、1年もないけれどよろしくおねがいします!」
 七瀬咲希といった女の子は笑顔が明るい女の子だった。まるで太陽のような笑顔で周りを包み込む、そんな笑顔だった。


 彼女の方を見つめていると、不意に目が合う。俺はなぜか吸い込まれるかのように彼女と目を合わせたまま、しばらく目をそらせずにいた。