* * *
「まだ見てるの?」
私はシーツの中にくるまり、左薬指のダイヤモンドに朝日を当てていた。
より一層輝きを増す指輪を見ていると、ああ私は本当にこの人の妻になるのだと実感する。
先に起きてネクタイを締めていた信士くんは、呆れたように笑みを浮かべている。
「ふふっ、だって」
昨日は驚きすぎてちゃんと見てなかったから、改めて喜びを噛み締める。
「蘭ちゃん、浸るのもいいけどそろそろ起きなきゃじゃない?」
「今何時?」
「七時」
「ぎゃーーっ! 起きますっ!」
今日は大学で生け花講演をやることになってたんだった!
十時には大学に着いてなきゃいけないんだからもう起きなきゃ。
慌てて飛び起きて着替え始めた。
「今日も着物?」
「うん、着物で行くわ」
「大学の生け花講演って男子学生もいるの?」
「ええ、男の子も結構いるわよ」
「指輪外さないでね」
「!!」
ものすごくサラッと「俺のもの」宣言をされたみたいで、胸がきゅうっと締め付けられる。
信士くんって意外と独占欲強いのかしら?
「好きすぎる」
「声漏れてない?」
「あっ」
思わず心の声が漏れてしまっていた。
なんかもう、ダメみたい。無意識に好きが溢れ出てしまう。
「それはこっちの台詞なんだけどね」
信士くんはふわっと私を引き寄せて抱きしめる。
「かわいすぎる」



