信士くんは優しく微笑み、ぎゅうっと抱きしめてくれた。
「やっぱり蘭ちゃんはすごいね」
「そ、そうかな?」
「まあ、もう離してあげられないんだけどね」
とすん、と柔らかいマットレスが背中に当たる。
あっという間に押し倒されていて、この数秒で何が起きたかわからない。
「!?」
いつの間にか信士くんは私に馬乗りになって見下ろしている。
「ちょ、ちょっとまって!?」
「なんで?」
「唐突すぎない!?」
「どこが?」
頬にちゅっ、と触れるだけのキスを落とされる。
ほぐれていた緊張がよみがえり、思わずビクッと反応してしまった。
「――これでも余裕ないって言ったよね?」
「……っ」
熱を帯びた雄の視線で迫られたら――もう逃げることなんてできない。
再び顔を寄せられたので瞼を閉じると、今度は唇を重ねられた。
舌の先で下唇を舐められ、そのくすぐったさに思わず吐息が漏れ出てしまうと即座に彼の舌が挿入される。
「んっ、ふぅ……っ」
呼吸ごと奪われるような口づけに翻弄されながら、自然と涙とともに想いが溢れ出ていた。
「……すき……っ」
「っ、ずるくない?」
信士くんは唇を離すと何だか悔しそうに私を見下ろす。
そしてとびきり甘い声で囁いた。
「――、」
「……っ! 信士くんの方がずるいっ」
「ははっ」
楽しそうに笑った後、再び唇を塞がれる。
もう待ったはなし、と言わんばかりに攻め立てられ、いつの間にかバスローブは床に捨てられていた。
強引でイジワルなのに、私に触れる手も唇もすべてが優しい。
素肌で抱きしめ合えば、これ以上ない快感と幸福感で満たされて――そのままどこまでも彼に溺れた。



