この恋を運命にするために



 優しく頭を撫でられ、その温かさにもっと涙が溢れる。
 私が落ち着くまでずっとそうしてくれていた。


「なんで俺に黙ってた?」
「誰かに見られているって思ってたけど、気のせいかもしれないって思って……」
「ストーカーの相談件数が増えてるって話したよね? 君は危機意識が足りなさすぎる」
「ごめんなさい……」


 また怒られてしまった。
 やっぱりこんな私を好きになってくれるわけないよね。


「ものすごく心配した」
「っ……」
「今度からは何があっても絶対俺に言うこと。わかった?」
「はい」


 こうして心配してくれるのは、信士くんが優しいからなんだよね――……。


 *


 信士くんが予約してくれたレストランは最上階にあった。
 しかも東京の夜景が一望できる特別な席を用意してくれていた。


「わあ、すごく綺麗!」


 嫌なことを忘れさせてくれる、そんな絶景だった。
 向かい合って座るのではなく、隣同士で座れるようにセッティングされていたので少し緊張するけれど。


「今更だけど、その着物すごく似合ってる」
「ほんと?」
「あの男に先に見られたことが悔しいな。記憶をなくすべきだったか」
「怖いこと言わないで!?」
「冗談だよ」


 何故か信士くんが笑顔で言うと冗談に聞こえない。
 でも嬉しい。信士くんに見せるために頑張ったから。


「こんなに綺麗なのに自覚がないとは、この先が思いやられるな。あいつは二度と現れないと思うけど、俺の目の届かないところにいられるのは不安だし――早急に家は探すか」
「家?」