多分じゃなく、信士くんのことだ。
車で送ってもらったあの日、八代さんは見ていたということ……?
雲行きの怪しさに思わず後退りたくなる。
「まさか、あの夜にいたんですか……?」
「蘭ちゃんのことが心配で自宅前で待ってたんだ。そうしたら変な男と一緒だったからもう心配で。でも、もう大丈夫だよ」
「な、何がですか?」
「これからは僕がずっと蘭ちゃんのこと守るから。心配しないで」
この人は何を言っているのだろう?
悪びれた様子もなく当たり前のように言っているけど、要するにここ最近感じていた視線の正体は八代さんだったということだ。
私を守っていたなんて恩着せがましいことを言っているけど、自分こそストーカーしていた張本人じゃない。
「やめてください。その人は怪しい人なんかじゃありません」
「蘭ちゃんは男を見る目がないんだよー。僕みたいな……」
「迷惑です! ストーカーはあなたの方じゃないですか!」
取引先の大事な息子さんだと甘んじてきたけれど、もう耐えられない。
このことは両親にも報告しなきゃ。
「二度と勝手なことはやめてください」
踵を返して立ち去ろうとすると、強い力で腕を掴まれた。
それまで笑顔だった八代さんは、スッと真顔になる。
「なんだよそれ。僕の好意を踏みにじるつもりか?」



