この恋を運命にするために



 どうして八代さんがここに――?

 訝しげに見つめる私に気づいていないのか、八代さんは笑顔で手を振りながらこちらに駆け寄ってくる。


「よかったぁ。蘭ちゃんのこと探してたんだよ〜」
「私を……? もしかして、仕事のことで何かありましたか?」


 八代さんはヤシロ百貨店の御曹司で大事な取引先でもある。
 思わずしゃんと背筋を伸ばして彼の目を真っ直ぐ見つめた。


「仕事じゃないよ。蘭ちゃんがここのところ、怪しい男に付き纏われてるみたいだから心配してたんだ」
「えっ、付き纏われてる?」
「そうだよ、気づいてなかったの?」
「いや、誰かの視線を感じるとは思ってたんですけど……」


 まさか本当に誰かにストーカーされていた?
 考えただけでゾッとする。

 あれ、でもどうして八代さんがそのことを知っているの?


「八代さんはどうして知っているのですか?」
「そりゃあ、僕は蘭ちゃんのことをずっと見守っていたからね」
「見守っていた……?」
「この前も変な男と一緒だっただろ? 背が高いスーツの男だよ。目元にほくろのある胡散臭そうなやつ」


 胡散臭そうというのがよくわからないけど、信士くんは左目の下に泣きぼくろがある。
 もしかして、信士くんのこといってるのかしら?


「そいつの車から蘭ちゃんが降りてきたの見たよ。大丈夫? 無理矢理乗せられたんじゃないの?」
「違います! 送ってもらっただけです」