この恋を運命にするために



 昨日偶然、男性と一緒にいたところを見たと話すと、少し首を傾げてから「ああ!」と声をあげた。


「あれ、うちの兄よ」
「は? お兄さん?」
「フランスにいるんだけど、一時帰国したからご飯を食べてその後バーで飲んでたの。兄の奥さんも一緒にいたのよ」


 もう一人いたのは気づかなかった。
 そうか、お兄さんだったのか……。


「えーっ、兄を彼氏と勘違いしたの?」
「親しそうに見えたからそうなのかと」
「あ……、それをわざわざ聞くために電話を?」
「いや、それだけじゃないけど――忙しくてずっと連絡してなかったから。今更だけど、この前はごめん」
「ううん! お仕事なんだし仕方ないよ」


 そういってくれたことに安堵していた。
 ずっと引っかかっていたことが、やっと解消された気分だ。


「それに私の方こそ――連絡してくれて嬉しかった」
「っ、」


 頬を染めて嬉しそうにはにかむ彼女がかわいい。
 相変わらず思っていることが顔に出やすいけど、そこがまたかわいい。


「本当はね、何度も連絡しようと思ったの。でも忙しいかなって……。だから電話くれたのが嬉しくて舞い上がっちゃったの」
「そう……」
「ごめんなさい。でももう絶対しないから!」


 真っ直ぐに俺の目を見て言い切った表情が、まるで親に約束を守りますと宣言する子どものようでつい笑ってしまった。


「ふふっ」
「なんで笑うの!?」
「いや……」