蘭ちゃんは叱られた子犬みたいにシュンとする。
「信士くんから電話あったのが嬉しくて。メッセージ残そうと思ったんだけど、こっちに行く用事があったから……つい」
「それにしても一言連絡してくれたらよかったのに」
「ごめんなさい、願掛けだったの」
「願掛け?」
「もし何も言わずに今日会えたら、運命になるのかなって」
そんなことで運命になったら安すぎないか。
自分の身を危険に晒して馬鹿じゃないのか。
そう言ってやりたいはずなのに、しょぼくれる彼女を見ていると何も言えない。
それどころか、そうまでして自分に会いたかったという彼女のことをかわいいと思ってしまう自分がいる。
俺の方こそ馬鹿なのかもしれない。
「……最近ストーカー被害を訴えてくる女性が多いんだよ。ついこの前も元交際相手に若い女性が殺される事件があったし」
「!」
「何かあってからじゃ遅いんだよ。もうこういうことは二度としないで。本当に心配するから」
「っ、ごめんなさい……」
泣きそうになって俯くからつい頭を撫でてしまった。
ほとんど無意識的だったので、気づいてパッと手を離す。
「ごめん」
「ううん……もっとしていいのに」
「あのねぇ、彼氏いるのにそういうこと言わない方がいいよ」
「彼氏?」
蘭ちゃんはきょとんとする。
「彼氏できたんじゃないの?」
「えっ、なんで!?」
「だって昨日――、」



