これでわかっただろう、俺と君とでは生きる世界が違うし価値観もまるで違う。
結婚なんて到底無理な話だということを。
それなのに、
「信士さんが運命の人だったらいいなって、本気で思ってるんです!」
何故俺なんかにこだわるんだ?
俺には運命を信じろなんて有り得ない。
俺たちはどこまでも平行線のはずなんだ。
「今日は信士さんをたくさん知るためのデートなんですよ? 他人が信じられない、運命がわからないってことが知られて嬉しいじゃないですか」
君の価値観を真っ向から否定する男に対し、何故そんなに嬉しそうにできるんだ。
何故そんな風に笑っていられるんだ。
千寿蘭という女性は俺の想像を遥かに超えていた。
「……調子が狂うな」
こう見えて自分のペースに持っていくのは得意な方なんだが。
ただ一人の親友には「お前には振り回されてばかりだ」としょっちゅうげんなりされている。
取調べをする時も「信士さんと相対すると全てを見透かされてるようで怖いです」と言われたことがある。
それなのに蘭さんには振り回されてばかりだ。
しかし、それを案外悪くないと思っている自分がいる。
*
「信士さん、この後どうしますか?」
「んー、どうしようか」
「この辺りに新しく水族館ができたみたいなんですけど、行ってみませんか?」
「いいよ」



