「いや、いいよ。お前が怒るのも無理ない。だってお前は俺だもんな。アリシアを愛する気持ちは同じなんだから。怒りたくもなるだろ。……でもな、どうしようもないんだよ。あの時、俺は確かに大量の血を流して死にそうだったんだ。……どうしようもないんだよ」
そう言って悲しげに微笑むフレンの両目には涙が浮かんでおり、フレデリックは思わず目を背けた。未来の自分が愛する人を思って泣いている、その事実をまだ若いフレデリックは受け入れられない。静かに深呼吸してぎゅっと拳を握り締め、フレデリックは口を開いた。
「……でもあんたはここにいる。死なずに、なぜか過去に戻ってきたんだろ。何かしらきっと理由があるはずだ。もしかしたら死なないための何かができるのかもしれない」
静かに、だがはっきりとした口調でフレデリックは言った。
「俺は、諦めない。未来のアリシアを一人になんて絶対にしない。あんたが諦めていても、俺は絶対に諦めないから」
顔を背けながら、そう言ってフレデリックは部屋を出ていく。フレンは誰もいなくなった部屋で一人、床をじっと見つめていた。
「っ……!」
「すみません、盗み聞きするつもりはなかったのですが」
部屋を出たフレデリックは、部屋の前で立ちすくむアリシアと遭遇した。手にはティーセットを持っており、おそらくお茶の支度をしてやってきた時に話を聞いてしまったのだろう。アリシアは不安そうな悲しそうな、何とも言えない表情をしていて、フレデリックの胸は張り裂けそうだった。
「俺は、諦めません。あの男が、未来の俺だという男が諦めていたとしても、俺は諦めない。未来のアリシアを一人になんて絶対にしませんから」
そう言って静かにお辞儀をし、フレデリックは立ち去っていった。
そう言って悲しげに微笑むフレンの両目には涙が浮かんでおり、フレデリックは思わず目を背けた。未来の自分が愛する人を思って泣いている、その事実をまだ若いフレデリックは受け入れられない。静かに深呼吸してぎゅっと拳を握り締め、フレデリックは口を開いた。
「……でもあんたはここにいる。死なずに、なぜか過去に戻ってきたんだろ。何かしらきっと理由があるはずだ。もしかしたら死なないための何かができるのかもしれない」
静かに、だがはっきりとした口調でフレデリックは言った。
「俺は、諦めない。未来のアリシアを一人になんて絶対にしない。あんたが諦めていても、俺は絶対に諦めないから」
顔を背けながら、そう言ってフレデリックは部屋を出ていく。フレンは誰もいなくなった部屋で一人、床をじっと見つめていた。
「っ……!」
「すみません、盗み聞きするつもりはなかったのですが」
部屋を出たフレデリックは、部屋の前で立ちすくむアリシアと遭遇した。手にはティーセットを持っており、おそらくお茶の支度をしてやってきた時に話を聞いてしまったのだろう。アリシアは不安そうな悲しそうな、何とも言えない表情をしていて、フレデリックの胸は張り裂けそうだった。
「俺は、諦めません。あの男が、未来の俺だという男が諦めていたとしても、俺は諦めない。未来のアリシアを一人になんて絶対にしませんから」
そう言って静かにお辞儀をし、フレデリックは立ち去っていった。



