行き倒れ騎士を助けた伯爵令嬢は婚約者と未来の夫に挟まれる

フレンが過去から戻ってきて一ヶ月が経った。この日、フレンとアリシアは二人で街へ買い物にやって来た。

(そういえば、フレンが街で出会った露店商の人、未来でまた会ったらお礼を言ってくれとフレンに言ったそうだけど、あれからフレンはまだ出会っていないみたい。いつ会えるのかしら……)

 もしも会えたなら、できうる限りのお礼をしようと二人で言っていた。街へ来るのも久々だ。どこかにいないものかとアリシアは辺りを見渡す。フレンも口には出さないが同じことを考えているのだろう。何かを探すように、辺りを見渡していた。

「おや、二人揃ってお出かけかい?仲がいいね」

 突然声がして視線を向けると、そこにはフードを目深に被った一人の露店商がいた。驚いたフレンは声をあげる。

「あんた……!」
「ほほほ、無事に戻ってこれたようだね。よかったよかった」

 フードで表情は全く見えないが、どうやら喜んでくれているらしい。

「ああ、あんたのおかげでこうして無事に戻ってこれた。戻ってきて死ぬことも無くなった。ありがとう。あんたは俺に、未来で会ったら礼を言ってくれと言っていた。何が欲しい?あんたには感謝しても仕切れない、俺たちのできうる限りの礼がしたい」

 フレンの言葉に、フードを被った女性はフッと静かに笑う。

「そんなことを言っていいのかい?私がとんでもない金額を要求するとか、領地をよこせとか、そんなことを言い出す可能性だってあるだろう?そんなに簡単にホイホイと何かをあげようとするもんじゃないよ」

 フードの女性をフレンは警戒しながら、アリシアは複雑そうな顔で見つめる。

「まあ、私はそんなことは言わないがね。今回のは私の気まぐれみたいなもんさ。言ったろう?初めて会った時に、あんたたちには希望の光が見えるって。それをちゃんと見せてもらえればそれで構わないさ。あんた、最近体調がすぐれないんじゃないのかい?」

 アリシアの方へ体を向け、フードの女性は静かに言う。

(えっ、どうしてそれを……)