さっきまで起こっていたはずのことが、アリシアの言葉であやふやに感じられる。夢ではなかったはずだ。だが、今こうしてアリシアを抱きしめているフレンにとってはもはやそれどころではなかった。

「……そうかもしれない。アリシアともう二度と会えなくなってしまうかもしれない、そんな辛くて苦しい気持ちになって、でも諦めきれなくて、……目覚めたんだ」

 ぎゅっとアリシアを抱きしめる力を強くする。するとアリシアは、フレンの背中に手を添えて優しくさすった。

「そう……でも、大丈夫。私はこうしてここにいるわ」

 アリシアの言葉を聞いて胸が熱くなる。本当に、本当に自分は生きていて、アリシアの元へ戻ってきたのだ。

 アリシアから体を少し離すと、アリシアが心配そうな顔でフレンを見つめる。
 アリシアの頬にそっと手を添えると、柔らかくてあたたかい頬の感触が手のひらに伝わってくる。唇は寝起きだというのにほんのり赤く見るからにぷるんとして美味しそうだ。

 アリシアに触れたい、全てに触れたい。アリシアを感じていたい、今すぐに。

 そう思った瞬間、フレンはアリシアに口づけていた。

「!?」

 突然のことにアリシアの体がのけぞりそうになるが、フレンの手がアリシアの後頭部と腰をがっちりと抑えて離さない。バードキスのような口づけから熱い口づけへと変化しする。そのまま舌を入れ込み、刺激の強い部分をなぞっていくと、アリシアの口から吐息が漏れる。

 どのくらいそうしていただろう。すっかり蕩けてしまったアリシアからようやく離れると、アリシアはくてっとしながらも戸惑いの表情でフレンを見る。

「どう、したの…?」
「悪い、どうしてもアリシアに触れたくて感じたくて仕方ないんだ」

 そう言って、フレンは静かにアリシアをベッドへ倒す。

「え、でも、明日は早いって……」
「休みを取るからいい。気にするな」
「えっ、そんな急に、……え?っ、あっ……!」


 そのまま、フレンはアリシアを気が済むまで抱き潰した。