アリシアとフレデリックが話をしている間。フレンは街の中をあてもなく歩いていた。
(未来に帰るための手がかりを探すとしても、どこをどう探せばいいのか検討もつかないな)
本当は、昨日あんなことになったアリシアの状態が気になる。すぐにでもアリシアのそばに行って、大丈夫かと声をかけてあげたい。だが、フレデリックの手前、なんとなく気が引けてしまう。
(いつの間にかフレデリックに遠慮するようになってしまった。あいつは俺なのに)
この時代に来て、初めてアリシアを見たときには奇跡が起きたと思った。死ぬ直前、もう一度会いたいと願った人物が、過去とはいえまた会えたのだ。共に時間を過ごすうちに、触れたい、そばにいたいという欲も出てくる。だが、今の時代のアリシアの婚約者は、紛れもなく今の時代のフレデリックだ。
(それに、俺がアリシアの婚約者時代だった頃には起こらなかったことが起こっている。俺がここにいるせいで、過去が書きかわっているのか?)
そのせいで、アリシアがあんな目にあったとしたなら、自分はここにいるべきではないのではないか。かといって、メリッサの件を解決しないままここを去ることも不安だ。そもそも、ここからまた未来へ戻る方法はわからない。
「おや、随分と珍しいものを持っていなさるね」
考え込みながらただ街の中を歩いていると、露店に座るフードを深く被った女性に声をかけられた。
(俺か?)
キョロキョロと辺りを見渡すと、他に人はいない。
「そうだよ、あんただよ。あんた、左の内ポケットに入ってるものを見せてごらん」
「急にそんなこと言われてはいどうぞなんて見せるほど俺はお人好しじゃないぞ」
「ほほほ。まあ、そう言わさんな。あんた、未来から来たんだろ」
フードを深く被る女性の一言に、フレンは両目を見開いて露店の机に両手を置く。
「あんた、なんでそれを知っている」
「ふっ、私に見覚えはないかい?未来の私はあんたに会っているはずなんだけどね」
そう言われて、フレンは女性をジッと見つめる。フードを深く被っていて顔は全く見えない。でも、この光景、前にも見たことがある気がする。
(未来に帰るための手がかりを探すとしても、どこをどう探せばいいのか検討もつかないな)
本当は、昨日あんなことになったアリシアの状態が気になる。すぐにでもアリシアのそばに行って、大丈夫かと声をかけてあげたい。だが、フレデリックの手前、なんとなく気が引けてしまう。
(いつの間にかフレデリックに遠慮するようになってしまった。あいつは俺なのに)
この時代に来て、初めてアリシアを見たときには奇跡が起きたと思った。死ぬ直前、もう一度会いたいと願った人物が、過去とはいえまた会えたのだ。共に時間を過ごすうちに、触れたい、そばにいたいという欲も出てくる。だが、今の時代のアリシアの婚約者は、紛れもなく今の時代のフレデリックだ。
(それに、俺がアリシアの婚約者時代だった頃には起こらなかったことが起こっている。俺がここにいるせいで、過去が書きかわっているのか?)
そのせいで、アリシアがあんな目にあったとしたなら、自分はここにいるべきではないのではないか。かといって、メリッサの件を解決しないままここを去ることも不安だ。そもそも、ここからまた未来へ戻る方法はわからない。
「おや、随分と珍しいものを持っていなさるね」
考え込みながらただ街の中を歩いていると、露店に座るフードを深く被った女性に声をかけられた。
(俺か?)
キョロキョロと辺りを見渡すと、他に人はいない。
「そうだよ、あんただよ。あんた、左の内ポケットに入ってるものを見せてごらん」
「急にそんなこと言われてはいどうぞなんて見せるほど俺はお人好しじゃないぞ」
「ほほほ。まあ、そう言わさんな。あんた、未来から来たんだろ」
フードを深く被る女性の一言に、フレンは両目を見開いて露店の机に両手を置く。
「あんた、なんでそれを知っている」
「ふっ、私に見覚えはないかい?未来の私はあんたに会っているはずなんだけどね」
そう言われて、フレンは女性をジッと見つめる。フードを深く被っていて顔は全く見えない。でも、この光景、前にも見たことがある気がする。



