部屋を出たフレンは、ドアに背中をもたれかけ腕を組み、静かに目を閉じた。少し経って、部屋の中から何やらいやらしい音がし始める。
「あっ、ああっ、フレデリック様……んっ、んあっ」
アリシアの悩まし気な声まで聞こえてきて、フレンは盛大に顔を顰めた。
(この部屋、防音対策をしていない部屋なのか)
チッと舌打ちをしてフレンは部屋に防音魔法を施す。すると部屋からは一切何の音も聞こえなくなった。
(アリシアのあんな声、誰にも聞かせたくない)
アリシアの悩まし気な声を聴いてしまったがゆえに、先程までのアリシアの表情や姿を思い出して下半身に熱がこもる。部屋の中にいるフレデリックとアリシアの行為が勝手に頭に思い浮かんでしまい、フレンは大きくため息をついた。
◇
さかのぼること数時間前。
メリッサに腕をひかれホールの真ん中付近まで来た時、フレデリックがふとアリシアの方を見るとアリシアが胸を掴んでうつむいている。フレンを見ると、逼迫した顔で何かを伝えようとしていた。だが、メリッサに遮断され、そのままダンスが始まってしまった。
「アリシア……!」
「フレデリック様、今は私とのダンスを楽しんでください」
そう言ってメリッサは嬉しそうにダンスを踊る。
「またこうしてフレデリック様とダンスを踊れてうれしいです」
「また?」
「覚えていないのですか?私が社交界デビューした日にたくさんの令息に取り囲まれて困っている時、フレデリック様が一緒に踊りましょうと助けてくださったんですよ。本当に嬉しかった。あの日からずっとフレデリック様は私の王子様なんです」
うっとりとした顔でメリッサは言うが、フレデリックはその日のことをほとんど覚えていなかった。
「悪いが、覚えていない。きっとアリシアの妹が困っているからと思って声をかけたんだと思う。そうでなければアリシア以外の女性に自分から声をかけるなんてことはしないからね」
「……フレデリック様は本当にお姉さまのことしか頭にないのね。でも、そんなお姉さまが他の男と体を重ねたとしたら、さすがのフレデリック様もお嫌でしょう?」
「は?」
メリッサの突然の発言に、フレデリックは冷たい瞳でメリッサを見下ろす。だが、メリッサはひるむことなく微笑みながら言葉を繋げた。
「あっ、ああっ、フレデリック様……んっ、んあっ」
アリシアの悩まし気な声まで聞こえてきて、フレンは盛大に顔を顰めた。
(この部屋、防音対策をしていない部屋なのか)
チッと舌打ちをしてフレンは部屋に防音魔法を施す。すると部屋からは一切何の音も聞こえなくなった。
(アリシアのあんな声、誰にも聞かせたくない)
アリシアの悩まし気な声を聴いてしまったがゆえに、先程までのアリシアの表情や姿を思い出して下半身に熱がこもる。部屋の中にいるフレデリックとアリシアの行為が勝手に頭に思い浮かんでしまい、フレンは大きくため息をついた。
◇
さかのぼること数時間前。
メリッサに腕をひかれホールの真ん中付近まで来た時、フレデリックがふとアリシアの方を見るとアリシアが胸を掴んでうつむいている。フレンを見ると、逼迫した顔で何かを伝えようとしていた。だが、メリッサに遮断され、そのままダンスが始まってしまった。
「アリシア……!」
「フレデリック様、今は私とのダンスを楽しんでください」
そう言ってメリッサは嬉しそうにダンスを踊る。
「またこうしてフレデリック様とダンスを踊れてうれしいです」
「また?」
「覚えていないのですか?私が社交界デビューした日にたくさんの令息に取り囲まれて困っている時、フレデリック様が一緒に踊りましょうと助けてくださったんですよ。本当に嬉しかった。あの日からずっとフレデリック様は私の王子様なんです」
うっとりとした顔でメリッサは言うが、フレデリックはその日のことをほとんど覚えていなかった。
「悪いが、覚えていない。きっとアリシアの妹が困っているからと思って声をかけたんだと思う。そうでなければアリシア以外の女性に自分から声をかけるなんてことはしないからね」
「……フレデリック様は本当にお姉さまのことしか頭にないのね。でも、そんなお姉さまが他の男と体を重ねたとしたら、さすがのフレデリック様もお嫌でしょう?」
「は?」
メリッサの突然の発言に、フレデリックは冷たい瞳でメリッサを見下ろす。だが、メリッサはひるむことなく微笑みながら言葉を繋げた。



