フレデリックの屋敷に到着したアリシアは、屋敷内を一通り案内されてからフレデリックとフレンと三人で話をしていた。
 なぜかソファにアリシアを挟んでフレデリックとフレンが両隣に座っている。

(また、二人に挟まれているわ、この状況、全く慣れないし恥ずかしい……!)

 居た堪れなくてずっと俯いていると、フレデリックが口を開いた。

「アリシア、馬車の中でずっと大人しかったけれど、もしかして馬車に酔ってしまった?大丈夫?」

 アリシアは馬車の中でメリッサとフレデリックのことをずっと考えていた。ユーリの前で言われたことは純粋に嬉しかったし信じているけれど、それでもやはりアリシアの心はスッキリとは晴れていない。そんなアリシアの様子を心配そうに見るフレデリックに、アリシアは少し戸惑いながらも微笑んだ。

「大丈夫です」
「大丈夫じゃないだろ、こいつにはちゃんと言いたいこと言わないと伝わらないぞ」

 突然フレンが割って入ると、フレンの言葉にフレデリックが顔を顰めた。

「どういう意味だよ。どうしてあんたがそんなこと言ってくるんだ」
「アリシアを見ればわかるだろ、むしろどうしてわかんないんだろうな、お前は。呆れたよ、お前は本当に俺か?」

 フレデリックとフレンが睨み合っている。

(どうしてこの二人はすぐにこう喧嘩になってしまうのかしら……)

 二人を見ながらアリシアが静かにため息をつくと、そのため息に気づいてフレデリックとフレンが同時にアリシアを見つめる。

「……ごめん」
「……すまない」

(こういうところは息ぴったりなのよね)

 同時に謝りながら悲しげにアリシアを見つめる二人を見て、アリシアは眉を下げて思わずクスッと笑ってしまった。そして、そんなアリシアにフレンはホッとしたように優しく微笑む。