「唯さんのこと、ずっと前から知ってたんだ。
咲夜の妹って知る前から、君のことを可愛いなって思って、目で追ってた。
だから、親友の妹として紹介されたときは、本当に驚いたし、幸運だって思ったよ」
珍しく、流斗さんの声は熱を帯びていた。
その無邪気な笑顔に、目を奪われる。
「でも、すぐに落胆した。君の気持ちを知ったから。
咲夜のことが好きなんだって、すぐにわかった。
唯さんがそれで悩んでいることも」
流斗さんが今度はうつむく。
いつもの余裕ある大人な彼とは違う、感情豊かな表情に胸がざわついた。
「気持ちを伝えることも、応援することもできなかった。
二人とも失いたくなくて、ただ見守ることしかできなくて……。
そうしているうちに、時間だけが過ぎていった」
胸の奥を吐き出すように、言葉をつむいでいく。
「――この前は、秘密を知れてラッキーだと思った。
もっと君に近づけるって思ったんだ。
咲夜のことで悩んでいる唯さんを見て、今しかないって思った。
だから勇気を出して言った。……まあ、少しひねくれた言い方だったけどね。
本当はもっと素直に告白すればよかったのに、あんなふうにしか言えなくて」
