義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます


 やっと順番が回ってきて、私たちは観覧車に乗り込んだ。

 さっき強気で言ったのが効いたのか、兄も素直に加奈さんとふたりで乗っているのが見える。
 ほっとしたのも束の間――胸がきゅっと痛んだ。

 そっと息を吐き出す。

「唯さん……」

 観覧車の小さな箱の中。
 向かいに座る流斗さんが、私の名前を静かに呼ぶ。

「はい」

 心配をかけまいと笑顔をつくって応じた。
 すると流斗さんは、少し困ったように笑ってから、私の隣に移動してきた。

「え、どうしたんですか?」

 戸惑いながら視線を向けると、真剣なまなざしが返ってくる。

「唯さんの気持ち、僕、知っていますよ」

「へ?」

「咲夜のこと、好きなんですよね」

「っ! な、なんで……」

 ばれてる!?
 なんとなく、そうかなって思ってはいたけど……やっぱり!

 流斗さんには、私の気持ちが読まれていたんだ。
 顔が熱くなる。

 でも、それならどうして――。
 どうしてあの日、付き合わないかって言ってきたの?

 じっと見つめると、流斗さんは少し照れたように笑った。

「ずっと見ていれば、わかりますよ。僕はけっこうするどいんです」

 その声は優しいけれど、どこか寂しげ。
 彼は切ない表情のまま、窓の外に視線を移した。