自分から腕を絡めるなんて、よくもまあそんなことができたなと自分でも驚く。
でも、これくらいしないと兄の態度は変わらない気がしたから。
……本当は、私がお兄ちゃんとふたりで乗りたい。
それが本音。
だけど、それはしてはいけないこと。
ふたりだけで来ているならまだしも、今はお互い恋人がいるのだから。
そんなことは許されない。
「大丈夫ですか?」
ぐいぐい引っ張っていくくせに、急に黙り込んでしまった私。
流斗さんはそんな私を心配してか、優しく声をかけてくれた。
「はい、大丈夫ですよ。さ、観覧車へ行きましょう。
バカな兄は放っておいて」
せいいっぱいの強がりを見せると、
流斗さんは、少し困ったように優しく笑った。
「……そう、ですね」
後ろから兄と加奈さんがついてくる気配を感じつつ、私は先を急ぐ。
二人のいちゃつく姿は、見たくない。
