遊園地の中にある、おしゃれなカフェ。
 最近できたばかりなのか、店内は大勢の人で賑わっていた。

 空いている席を探すのもひと苦労。

 オロオロとあたりを見回していると、流斗さんがさっと誘導してくれる。
 どうやって見つけたのか、空いている席へ案内してくれた。

 しかも四人席。
 兄たちのことも考えてくれているんだ……と、またまた感心してしまう。
 本当に流斗さんは気が利くし、大人だなあ、なんて思っていたら――

 私を椅子に座らせた流斗さんは、すぐにどこかへ行ってしまった。

 その直後、あとから来た兄が、当たり前のような顔で隣に腰を下ろす。

「えっ、なんでそこなの?」

 驚いて兄を凝視する。

「なんだよ?」

 怪訝そうにこちらを見る兄に、私は言う。

「だって、そこは流斗さんでしょ? 普通」

 四人席なんだし、カップルなら隣同士が自然だと思う。

「別にいいだろ? 流斗どっか行っちゃったし」

 ニヤッと笑う兄に、呆れてため息をつく。

 本当に自分勝手なんだから。

 けれど――
 肩が触れそうな距離に、胸の鼓動が素直に高鳴った。