今日のデートの行き先は、遊園地。
 やっぱりデートと言えばここ! ……なんて、恋愛初心者丸出しの考えかな?

 遊園地の入口前は、家族連れやカップル、友達同士のグループで賑わっていた。
 遠くから聞こえるアトラクションの歓声に、胸が高鳴る。
 カラフルな風船やキャラクターのパネルが並び、あたりはわくわくした空気に包まれていた。

 切符売り場には長い列。日曜日ということもあって、人がいっぱいだ。
 私たちはその最後尾へと並んだ。

「すごい人ですね」

 ぽつりとつぶやくと、すぐに流斗さんが反応する。

「人込み、苦手?」

「ま、まあ……」

 曖昧に答えると、流斗さんの手がそっと私の肩に触れ、優しく引き寄せられた。
 一気に距離が縮まって、体がぴったりとくっつく。

 ええ!? 何この急展開!

 驚いて顔を上げると、流斗さんはニコッと笑う。

「僕が守ってあげるから、大丈夫」

 ひーっ、何その王子様発言!
 ドキドキが止まらない。だ、だめだ、唯。落ち着いて!

 これ以上興奮したら変身しちゃう!

 顔を背けて必死に冷静さを保とうとすると、流斗さんがクスッと笑う。

「唯さんって、ほんと可愛いし、おもしろいね」

 可愛いは嬉しいけど、おもしろいって何!?

 考え込んでいると、列が少し前に進んだ。

「さ、行きましょう」

 自然な仕草で、流斗さんが私の背中を軽く押す。
 私は浮かんだ疑問を飲み込みつつ、彼の優しい誘導に流されるままに歩き出した。

 そして、チケットを買い、いざ入場ゲートへ向かおうとしたとき――