義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます


 話を進めるほどに、蘭の瞳がキラキラと輝きを増していく。

「えっ! ってことは、唯って今、流斗さんと付き合ってるってこと?」

「しっ! 大きな声で言わないでよ」

 私は慌てて口に指を立てる。

「流斗さんファンに聞かれたら大変なことになるんだから……」

 そう、流斗さんは兄に匹敵するほどの人気者で、校内には彼の“親衛隊”と呼ばれる女子グループまで存在していた。

 以前、私は親衛隊らしき女子たちに呼び止められ、忠告を受けたことがある。
 流斗さんの隣にいることが多かったせいで、ふたりの仲を疑われてしまったのだ。
 兄と一緒にいるとき、彼のそばにいることが多かっただけなのに――。

 あのとき浴びた、強そうな女子たちの視線――あれはもう、トラウマ級だった。

 ちなみにあの頃、流斗さんとはまだそういう関係じゃなかった。
 だから、「兄の親友だから仲が良いだけ」って必死で説明して、どうにか納得してもらった。

 しかし、今回はお試しとはいえ、本当に付き合っている。

 親衛隊がこの事実を知ったら、どんな目に遭うか……考えるだけでぞっとする。

 だからこそ、お試し期間中はひっそりと。
 なるべく目立たないようにしておきたいのだ。

 まあ、正式に付き合うようになったら、覚悟しないといけないかもだけど。
 って、何考えてるの? そうなるかなんてわからないんだから!

 ……でも。
 改めて考えると、ちょっと軽率だったのかもしれない。
 私はふうっとため息をついて、視線を落とした。

「ちょっと、早まっちゃったかな」

 あまり深く考えずに流れでOKしてしまったけど、これってとんでもない選択だったんじゃ。

 悩んでいると、蘭が明るい声で励ましてくれた。

「いいじゃない。流斗さんから言ってきたんでしょ?
 それを知れば、みんな引くって。
 もしものときは私も一緒にいてあげる!」

 蘭の頼もしさに、思わず笑みがこぼれた。

 ……うん、なんとかなるかもしれない。
 蘭がそばにいてくれるなら。