義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます


 誰? この可愛い子……。

 私は思わず目を奪われる。

 ふわりと巻かれたピンクラベンダーの髪。
 長くて濃いまつげに、大きな瞳。
 小さな口元にそっと手を添え、恥じらうような仕草。

 その小さな顔と、バランスの取れたスタイル。
 出るところはしっかり出ていて、ウエストはキュッと締まっている。

 どう見ても、完璧な美少女だった。

 そんな彼女が、にっこりと微笑んだかと思うと、すぐさま兄の元へ駆け寄っていく。

「咲夜くん! もう、探したんだから」

 兄のそばにぴたりと立ち、嬉しそうにその手を握る。
 そのまま一歩身を寄せ、可愛らしい顔をぐっと近づけた。

 至近距離で見つめられても、兄はどこかあっさりとした表情で見つめ返していた。

「おまえ、なんでこんなとこに?」

 兄は嫌そうに眉をひそめる。
 けれど彼女は気にも留めず、にこにこしながらぐいぐいと距離を詰めていく。

「それはこっちの台詞よ。
 最近、休み時間もいないし、お昼も見かけなくて。
 やっと見つけたと思ったら、屋上って。しかも……」

 言いかけて、ふと私に視線を向ける。
 まっすぐな瞳が、品定めするようにじっと見つめてきた。

「あの……もしかして、咲夜くんの妹さん?」

 どこか訝しげな表情で、ぐっと距離を詰めてくる。