「いただきます」

 三人で一緒にお弁当を広げた。

 兄と私のお弁当は、今日も母の手作り。
 そして例によって――母の趣味が全開のキャラ弁だった。

 私はその可愛らしさに、にんまり。
 ふわりと笑みがこぼれる。

 こっそり隣をチラ見すると……案の定、兄は苦い顔をしていた。

 どうやら、キャラ弁には毎度うんざりしているらしい。

「ふふっ、相変わらず二人のお弁当は可愛いですね」

 流斗さんがそう言って微笑むと、私は嬉しくなって、ぺこりと頭を下げた。

 けれど兄は、どこか複雑そうな表情のままだった。

「ところで、変身したときのこと、詳しく教えてもらえますか?」

 不意にそう切り出され、私は少しだけ姿勢を正した。
 ちゃんと答えなきゃ、と胸の内がそわそわする。

 変身のときの状況や、どんな感覚だったか――記憶をたどりながら、言葉を選んで説明していく。

「うーん……なるほど」

 話を聞き終えた流斗さんは、ゆっくりとうなずき、腕を組んで少し考え込んだ。
 沈黙が落ちる。
 その表情を読み取ろうと、私はそっと彼の横顔を見つめた。