その瞬間、兄がぬっと間に割り込んできた。

「別に、流斗の力を借りるまでもない。
 俺がついてるから、心配すんな。な、優?」

 そう言いながら、兄は流斗さんの前に立つようにして、私のほうへ身を寄せた。
 笑ってはいるけれど、どこかぎこちなさがある。

 なぜ兄が流斗さんを突っぱねるのかわからない。
 協力してくれるなら、それにこしたことはないはずなのに。
 ……心強いのに。

「うん、まあ。咲夜がいてくれると安心するけど……流斗さんも手伝ってくれるなら心強いし。
 僕は、お願いしたいです」

 まだ慣れない男の子の口調をまねながら、流斗さんに微笑みかけた。

「もちろん、喜んで。何でも相談して」

 兄を間に挟みつつ、私たちは自然と話を進めていく。

「ちっ……」

 兄が小さく舌打ちする音が聞こえた。

 もう、なんでそんな失礼な態度を取るかな!