翌朝になっても、私は優の姿のままだった。
 鏡に映るのは、昨日と同じ男子の顔。
 何度見ても慣れなくて、思わずため息がこぼれる。

 ……やっぱり戻らなかったか。

 少しの期待が裏切られ、じんわりと沈んでいく。
 だけど、いくら悩んでも仕方ない。今日も学校はあるし、サボるわけにもいかない。

 私は制服に袖を通す。

 最初は兄から借りた学ランだったけど、
 今回からは父が用意してくれた正式な男子用ブレザー。

 鏡に映る自分を見つめ、またため息をつく。
 似合っている。
 どこからどう見ても可愛い男の子、なんだよね。

 なんでこんなことに。

 心の中で泣きながら、朝の準備を済ませ、兄と共に家を出た。