兄が作ってくれたオムライスを夢中で平らげた私は、後片付けに精を出す。
 料理はできないけれど、せめて皿洗いくらいは率先してやりたい。

「じゃあ俺、風呂入ってくるな」

 兄はそう声をかけると、そのまま浴室へと向かっていった。


 皿洗いを終えた私は、兄がお風呂から出てくるのを待ちながら、なんとなくテレビを眺める。
 特に面白い番組も見つからず、ぼんやりと画面を見つめていた。


 十五分ほど経ったころだろうか。
 兄の足音がこちらに近づいてくるのが聞こえた。

 胸が、ひそかに高鳴る。
 なんだか、お風呂上がりの兄を迎えるって、ドキドキしてしまう。
 ……私だけなのかな、こんなふうに感じるのは。

 ずっと一緒に住んでいるのに、どうしても緊張してしまう。
 このふたりきりの時間。
 毎月訪れるたび、胸の高鳴りが増している気さえする。

 落ち着け、私。
 いつも通り、普通に振る舞えばいい。