しばらく沈黙が続いたあと、流斗さんはふと顔を上げた。
「僕の見解だけど……その前日に食べたクレープが怪しいと思う。何か変な感じしなかった?」
流斗さんの問いに、私はハッとする。
――そういえば。
おまけで貰ったイチゴ。
あれを飲み込んだ瞬間、電流が走ったような感覚があった。
「何か、思い当たることあるの?」
考え込む私に、流斗さんが訝しげに尋ねる。
「あ、はい。……イチゴを飲み込んだとき、電流が走ったような感覚があって。
でも一瞬だったし、そのあと何もなかったから気にしなかったんです。
もしかして、あれが原因……?」
「おまえ、そんなことがあったのか? なんで早く言わないんだよ」
兄が不満そうに顔を寄せてくる。
端正な顔が目前に迫り、鼻が触れそうな距離。
「もう、お兄ちゃん! 近いってば!」
慌てて押し返すと、兄はそっぽを向きながら口を尖らせた。
「なんだよ、今さら。別にいいだろ」
ん? 顔が少し赤いような……。
しかも目が泳いでる? 気のせい?
私が横目で兄を確かめていると――
「それだよ。そのイチゴに何か仕込まれてたのかもしれない。クレープ屋が怪しいね」
流斗さんが名探偵ばりに鋭く言い切った。
でも、確かにそうかも。
普通に考えて思い当たるのは、あれくらいしかない。
――っていうか、私あのとき言ったよね? ビリってしたって。
……うん、確かに言った!
でも二人とも、全然取り合ってくれなかったじゃん。
私はひとり悶々としながら腹を立てていた。
すると兄が、自分の手柄みたいに意気揚々と告げる。
「よし、今度また公園に行ってみようぜ。あのクレープ屋に会えるかも」
