やっとの思いで距離を取ると、兄は不機嫌そうに眉をひそめる。
「なんだよ、せっかく堪能してたのに」
「あ、あのねえ……!」
「な、いいだろ?」
低く囁いた声と同時に、視界がふっと揺れる。
次の瞬間、私はソファーに押し倒されていた。
上から覆いかぶさるようにして見下ろしてくるその熱い眼差し――
緊張はピークに達し、私は身を強張らせた。
必死に腕を伸ばして抵抗しようとするが、兄の手に捕まってしまう。
そのまま動きを封じられ、ソファに身を預けるしかなくなる。
「ちょ、待って! 何がいいのよ。お父さんとの約束は!?」
「は? そんな約束、あったっけ?」
とぼけた顔ではぐらかそうとする兄に、ますます慌てる。
「だ、だめだってば、私、まだ……」
「ダメ。もう待てない」
兄の顔がゆっくりと近づいてくる。
そして、唇がそっと重なった。
さっきよりも、もっと深く、もっと熱く。
息がゆっくりと乱れていく。
その唇は、やがてそっと首筋へと下りてきて――
「あっ……」
思わず小さな声が漏れた。
