今日は、父と母がデートで家にいない。
前は月に一度くらいだったふたりのデートが、最近なぜか頻繁に行われるようになった。
もしかして――私たちに気を遣っているのかもしれない。
そんな妙な配慮しなくてもいいのに。
っていうか、確実に母の案だな。父は母に押し切られているのだろう。
私はため息をついた。
「なんだよ、ため息なんかついて」
夕食を終え、ソファーでくつろいでいると、兄がマグカップをふたつ持って現れた。
私のすぐ隣に腰を下ろすと、片方のカップを差し出してきた。
「ほい、ココア」
あたたかな湯気が立ちのぼるココアを見つめ、自然と頬が緩んだ。
「ありがとう」
カップを両手で包み、ゆっくりとココアを口に運ぶ。
すると、私をじっと見つめる兄の視線を感じた。
痛い……というか熱い?
気になってしまい、ココアどころじゃない。
飲むのを止め、私は兄を睨みつける。
「ねえ、そんなにじっと見つめないでよ。恥ずかしいから」
そう言うと、兄がさらっととんでもないことを言った。
「なあ、俺もおまえのココア、飲みたい」
「え!?」
にやりと笑った兄が、ためらうことなく私に口づけた。
「んっ……!」
唇が触れた瞬間、鼓動が跳ねる。
だけどそれは、軽いものでは終わらない。
深く、熱を帯びたものに変わっていく――。
「ちょ、ちょっと!」
必死で押し返そうとするけれど、兄の腕はびくともしない。
近すぎる吐息に、心臓が暴れはじめる。
