義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます


 兄の迫力に怯んだ男が、慌ててポケットを探る。
 取り出した手には、飴玉のような包みが握られていた。

 兄はそれをひったくると、鋭い眼差しで男を睨みつける。

「これ、本当に解毒剤なんだな?」

 男はブンブンと首を縦に振った。

「もしまた変な薬だったりしたら……ただじゃ済まないからな」

 そう言い捨て、兄は男に背を向ける。
 怒気をまとったまま、まっすぐ私のもとへ歩いてきた。

 そして目の前に立つと、そっと手を差し出した。

「ほら、これ」

 兄の掌には、さっき男から奪い取った小さな包みが乗っていた。
 カラフルな包装に包まれた丸い球体。
 ……ほんと、飴玉みたい。

 これで、私の体質が戻るって?

 その包みをじっと見つめながら、ゴクリと唾を飲み込む。
 本当に飲んで大丈夫なの?
 もし、また変な薬だったら――。

 不安がじわじわ広がっていく。

 そんな私の気持ちを見透かしたように、兄が優しく微笑む。

「大丈夫。あいつ、嘘をついてる感じじゃなかった。俺を信じろ」

 まっすぐな瞳。
 どこまでも澄んでいて、見ているだけで心が落ち着いていく。

 信じたい――自然とそう思えた。

 私はそっと頷いた。

 あの男はどうあれ、お兄ちゃんのことは……信じられる。

 覚悟を決めて、その飴玉を口に放り込む。
 ごくりと飲み込んだ。