「僕は、ある施設の研究員なんだ。詳しい情報は教えられないけど……薬を開発していたんだ」
男はそう言いながら、ゆっくりと空を見上げた。
その瞳が怪しく揺らめき、語り口にも次第に熱がこもっていく。
「来る日も来る日も、研究に没頭していた。
そしてある日、ついにとんでもない薬を完成させてしまったんだ!」
男は、まるで何かに取り憑かれたかのように目を光らせながら語る。
「そう! 君が飲んだ薬だよ。
それを飲むと、性別が逆転するんだ!」
手を広げ、興奮気味に叫ぶ。
だがその直後、ふと肩を落としため息をついた。
「でも……それは、あくまで理論上の産物。実際に人に試したことなんてなかった。
研究員仲間やその家族、いろんな人に頼んだけど、誰も試してくれなくて……」
そりゃそうだろう。
そんな怪しげな薬、普通は誰だって飲みたくない。
