「いいって、もちろんいいに決まってるよ。
唯と咲夜くんは本当の兄妹じゃない。
血が繋がっていないんだから、恋をしてもいいんだよ。
もちろん、結婚だってできるしね」
「まあ素敵! 二人が結婚してくれたら、私たちずっと一緒にいられるじゃない!」
父と母が嬉しそうに手を取り合う。
私はぽかんとその光景を見つめていた。
こんなにあっさり受け入れてもらえるなんて……
もっと反対されたり、難しい顔されるのかと思ってた。
「最近、二人の空気が変わったのはわかってたよ。
あれ、これはついに来たかな? って感じだった」
父が幸せそうに微笑み、母も頷く。
「そうそう。こんなに想い合ってるのに、なかなか進展しないから……こっちがムズムズしちゃって。
まるで少女漫画やドラマのすれ違いを見ているみたいだったわぁ」
母は頬をほんのり染め、嬉しそうに声を弾ませる。
勝手に盛り上がる両親。
完全に置いてけぼりの私たち。
そっと兄の様子を窺うと、あっけに取られたような顔で両親を見ていた。
私の視線に気づくと、兄が苦笑いを浮かべる。
「ほんと……俺の母親と唯の父さんって、最強カップルだな。
いろいろ悩んでたのが、アホらしくなるわ」
あきれたような、でもどこか嬉しそうな笑顔。
「……うん、わかる。でも、すごく嬉しい。
こんな両親がいてくれて、私、幸せだよ」
ふっと笑うと、兄も吹っ切れたように笑った。
「だな!」
「あらあら、二人して、なにラブラブしてるの?」
母は口元を緩め、すかさず茶々を入れる。
すると父がちょっと真面目な顔になって、兄へ向き直った。
「いけないなぁ、両親の前でいちゃいちゃするのは。
咲夜くん、唯とは健全なお付き合いを頼むよ?」
「は、はあ……」
兄がたじたじになりながら、頭をペコリ。
「も、もう、お父さんったら!」
私がツッコミを入れると、四人で笑い合った。
こうして――
心配していた両親への報告は、思いがけないほどあっけなく終わったのだった。
