私が選んだのはストロベリー、兄はバニラ。
どちらも、私の好きな味だった。
ストロベリーを選べば兄はバニラを、バニラを選べば兄はストロベリーを――
そうやって半分ずつ分け合うのが、昔からの私たちのお約束。
レジでアイスを受け取り、そのまま店の端にある小さなテーブルへ向かう。
兄と向かい合って椅子に座ると、すぐにストロベリーアイスにかぶりついた。
「んーっ、美味しい〜!」
その声に、兄がくすっと笑う。
ちらりと兄の様子を窺う。
今回は、どうするんだろう。
今までと同じには、きっといかない。
私は兄の気持ちを知ってしまったし、兄だって私を意識しているはずだ。
「なんだよ、欲しいのか?」
視線に気づいたのか、兄が自分のアイスを私の方へ差し出してきた。
「うっ……」
ど、どうしよう。
でも、ここで変に意識して気まずくなるのは避けたい。
きっと、いつも通りに振る舞うのが一番だ。
思いきって、そのアイスにかぶりつく。
「……っ」
その瞬間、兄が小さく息をのんだ。
えっ? 今、私、何か間違えた? でも差し出したのはお兄ちゃんでしょ?
そっと顔を見れば、頬がほんのり赤く染まっていた。
「ご、ごめん……ちょっと気が、動転した」
視線を逸らし、焦ったように兄がつぶやく。
な、なにそれ……こっちまで恥ずかしくなるじゃん……。
二人とも黙り込んでしまう。
「も、もうそろそろ母さんたちに連絡取ってみるか」
兄はいそいそとスマホを取り出し、電話をかけた。
な、なによ……私と二人じゃ息が詰まるってこと? ひどい。
なんだか、むしゃくしゃする。
その気持ちをぶつけるみたいに、私はアイスにもう一度かぶりついた。
