なんて、心の中でひとり悶えていると――
「まあ、お似合いですねぇ」
突然、店員さんが現れた。満面の笑みをたたえながら、すっと近づいてくる。
お上品な制服に身を包んだ、スラッとした綺麗なお姉さんだ。
「今、それすごく人気なんですよ。色味も可愛いし……あら? もしかして彼氏さんが選ばれたんですか? いいですね〜」
早口でまくしたてる声に、たじろぐ。
えらくテンションの高い店員さんだな……いかにもな営業スマイルだし。
ていうか、彼氏さん? 今、この人そう言ったよね?
うそ……!
一気に顔が熱くなる。
「可愛い〜! 彼女さん顔赤くなっちゃって。
ねぇ彼氏さん、良いですねぇ〜。……あらやだ、彼氏さんもイケメン! お似合いのお二人ですね〜」
私と兄を見比べながら、店員ははしゃいでいる。
止まらないコメントに、さらに顔が火照っていく。
も、もうお願いだから……やめてぇ……!
「あの、もう大丈夫です」
見かねた兄が、苦笑いしながら店員さんを制した。
「あっ、ごめんなさいっ。私、空気読めてませんでしたよね?
でもほんと、お似合いでしたよ! では失礼します〜!」
ようやく空気を察したのか、店員さんは笑顔のまま、ぺこりと頭を下げて去っていった。
なんだったの、今の……。どっと疲れた。
ていうか、この空気、気まずすぎる。
そっと兄を見ると、困ったような顔をしている。
……たぶん、私と同じ気持ちだ。
ふたりとも黙り込んでしまい、微妙な間が続いた。
その中で、兄がふぅっとため息をついた。
「ちょっと疲れたな。それ買って、どこかで休もうぜ」
「そうだね。じゃあ、着替えるね」
私がカーテンを閉めようとした、そのとき――
「俺が買う」
「え?」
「その服、俺の金で買うから。よこせ」
視線を逸らしたまま、兄が手を差し出す。
え……買ってくれるの!?
めちゃくちゃ動揺したけど、なんとか平静を装って頷いた。
「あ、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて」
カーテンを閉じ、素早く元の服に着替える。
そしてセーターを持って試着室を出ると、兄に手渡した。
「はい」
兄は目を合わせずに、無言で頷いた。
その頬は、ほんのりと赤い……ような?
「おまえは、先に外で待ってろ」
そう言い残して、レジの方へ歩いていった。
思いがけない兄からのプレゼント。
嬉しくて、自然と頬が緩んでしまう。
お兄ちゃんからのプレゼント……ゲットだぜーっ!
