そんな日々が続いていたある朝、ついに両親が行動を起こした。
日曜日。
リビングでくつろいでいると、母が甘えるような声で呼びかけた。
「唯ちゃん、咲夜〜。せっかくのお休みなんだし、どこかお出かけでもしましょうよ」
その声に顔を上げると、母は「うふふ」と笑いながら、少女のように無邪気な笑みを浮かべていた。
母らしい可愛い洋服に身を包み、すっかりお出かけモードだ。
「そうだな、みんなで出かけよう。さあ、二人も準備して」
父ものりのりで、ウインクなんてしてくる。
どこかうきうきした様子の両親が、私と兄に目配せしてきた。
そのまま背中を押されるように、私たちは町へ繰り出すことになった。
きっと両親も、私たちの様子がぎこちないことに気づいているんだと思う。
心配して、仲を取り持とうと何やら画策しているのかもしれない。
ほんと、うちの家族はみんな優しいよね――と、あきれながらも。
その優しい計らいに、私は素直に甘えることにした。
連れてこられたのは、近所の大きなショッピングモール。
休日ということもあって、館内は人でごった返していた。
通路にはさまざまなお店が並び、あちこちから店員さんの元気な声が聞こえてくる。
フードコートを横切ると、ふわっと甘い匂いが鼻をかすめた。
通りすぎる人たちはみんな笑顔で、どこか楽しそうだ。
その空気に触れているうちに、こちらまで少しうきうきしてくる。
――来てよかったかも。
「ね、どこから見る?」
母が乙女のように目を輝かせながら、きょろきょろと辺りを見回す。
「すみれさんの好きなところでいいよ」
「え? じゃあ、あの洋服屋さんがいい」
母が指さしたのは、少し離れたところにある可愛らしいお店だった。
「いいね、行こうか」
父が頷いて、にこやかに応じる。
そのまま話は進み――
