流斗さんに送ってもらった私は、玄関の前で深く頭を下げた。
「おやすみなさい」と小さく呟く。
彼は優しく微笑むと、静かに去っていった。
私はその背中が見えなくなるまで、じっと見つめ続けていた。
部屋に戻ると、そっとベッドに潜り込む。
寝返りを打ちながら、さっきまでの出来事を思い返した。
あの優しい抱擁も、照れたような笑顔も、全部胸に残っている。
まぶたを閉じても、眠れない。
夜が深まるほどに、胸の奥に差し込む切なさがじわりと広がっていった。
……流斗さん、ごめんね。ありがとう。
目頭が熱くなり、ぎゅっと目を閉じる。
そして深夜。
ふいに異変が起きた。
ドクドクと脈打つ心臓。
呼吸が浅くなり、胸が焼けるように苦しくなる。
発作だ――そう自覚した私は、ただひたすらに耐えた。
最後の大きな波が過ぎ去ったあと、私は再び“唯”へと戻っていた。
