「もうすぐ、クリスマスですよね。
それまでは、唯さんは僕の“彼女”ということで」
少し寂しそうな笑顔で、でもどこか甘えるように言う。
「クリスマス前には、必ずお別れします。
これは僕の最後のわがままです。……聞き入れてもらえませんか?」
ああ、ずるいな。
そんな顔で、そんなふうにおねだりなんて。
流斗さんにはいつも助けてもらってばかりだし。
それなのに、傷つけてばかりで。
せめて最後くらい、恩返しをしたい。
私はゆっくりと頷いた。
「……わかりました。じゃあ、クリスマスまで」
そう答えると、流斗さんの顔がぱっと華やぐ。
「本当ですか!? ありがとうございます!」
そして、感情を抑えきれないように、私をぎゅっと抱きしめてくる。
「あ、ごめんなさい!」
すぐに体を離して、気まずそうに謝る流斗さん。
「ふふっ。まだお付き合い中ですから。いいんじゃないですか?」
冗談めかして言うと、彼の頬がほんのり赤く染まった。
「では……失礼して――」
小さな声でそう言うと、流斗さんはもう一度、ゆっくりと私を抱きしめた。
その抱擁はとても優しくて、彼の想いが静かに伝わってくる。
心があたたかくなって、目頭がじわりと熱くなった。
私はそのぬくもりにそっと身を委ね、静かに瞳を閉じた。
