義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます


 きっと今ごろ、彼女はクラス代表として後片づけに追われてるはず。
 テキパキ指示してる姿が目に浮かんで、つい笑みがこぼれる。

 蘭ってほんと元気だよね。ああいうところ、好きだし憧れる。

 ……でも、勝手にいなくなったこと、きっと怒ってるんだろうなあ。
 まあ、あの子のことだから、明日にはもうけろっとしてそうだけど。

 今日、蘭ほんとに楽しそうだったな。
 優になって良かった。なんて少しでも思えるのは、間違いなく彼女のおかげだ。
 そうでなければ、この変身に感謝なんてできそうにない。

 ふと足を止め、自分の姿を見下ろす。
 唯の顔に、男子の制服。やっぱりかなりややこしい。
 理事長室に戻れば着替えられるけど……さすがに今さら面倒だし、また誰かに見られたら余計ややこしい。

「うん、もういいや。帰ろ」

 小さくつぶやいて、制服の袖で顔を隠すようにしながら歩き出した。
 人気の少ない道を選んで、少し足早に家へ向かう。

 今日は本当に、いろいろありすぎた。
 大きく息が漏れる。
 ――はあ……疲れた。