義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます


 こうして学園祭は終わった。
 私は片づけに追われるみんなを横目に、ひと足先に学校をあとにする。

 だって仕方ない。今の私は優だから。

 唯がいないこと、きっとみんな不思議に思ってるだろうなあ……。
 途中から姿を消しちゃったんだから。

 心の中で「ごめんね」とつぶやきながら、さっきのことを思い出す。

 帰ろうか残ろうか迷っていた私に、流斗さんがそっと近づいてきて、耳打ちした。
 ――「あとのことは任せてください」

 その一言で、私は腹をくくった。ここは流斗さんに任せようって。

 だけど、校門を出たところで――とつぜん発作がきた。
 胸がドクドク暴れて、視界が揺れる。

 気づくと、私は唯に戻っていた。

「あ、危なかった」

 思わず胸を押さえ、辺りを見回す。
 蘭がいなくてほんとよかった。いたらどう対処していいか混乱しただろう。