制服に着替えるため、理事長室へ向かった。
父と軽く挨拶を交わし、用意されていた“優”の制服に袖を通す。
……ほんと、この変身って毎回ちょっと面倒くさい。
部屋を出ると、少し先で流斗さんが待っていた。
軽く会釈して、その隣に並び歩きだす。
遠くからは笑い声や音楽が響いてきて、まだまだ文化祭が続いているんだと実感する。
そんな賑やかさの中、肩が触れそうな距離で二人きり。
ちょっとドキドキ。
……言葉がなくても、流斗さんといると不思議と心地よかった。
けど、それなのに。
どんどんもやもやが増していく。
はあ……私、なにやってんだろ。
心の中で小さくため息をついた、そのとき。
