模擬店が並ぶエリアにやってきた。
校門から玄関までの通路沿いに、たくさんの食べ物屋が立ち並んでいる。
焼きそば、たこ焼き、フランクフルト、ホットドッグ、うどんにそば。
さらにはクレープやわたあめといったデザートまで揃っていて、甘くて香ばしい匂いがそこかしこに漂っていた。
「うわ〜、いい匂い」
私が鼻をクンクンさせると、流斗さんがクスクスと笑う。
「な、なんですか?」
「いえ、なんでも」
ニコニコと笑う流斗さんは、なんだかとてもご機嫌。
「さ、何を食べたいですか?」
そう問われて、私は少し考え込む。
「うーん、たこ焼きと……わたあめがいいです」
そう言った途端、流斗さんは笑顔のまま固まり、顔を背けてしまった。
「え? る、流斗さん?」
わけがわからず顔を覗き込もうとすると、ほんの少し距離を取られてしまう。
……いったい、なに?
