義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます


 観賞を終えた私たちは体育館を出た。
 そのとき、ふと風に乗って軽やかな音楽が耳に届く。

 運動場の方から流れてきているようだった。

 その音に誘われるように向かってみると、そこではファッションショーが開催されていた。

 ランウェイの上では、煌びやかな衣装を身にまとった生徒たちが堂々と歩いている。
 カラフルな照明がステージを照らし、軽快な音楽が場を盛り上げていた。
 モデル役の子たちは、ポーズを決めたり手を振ったりしながら、観客の視線を集めている。

「すごい……」

 目を輝かせると、流斗さんがくすりと笑った。

「見て行きましょうか」

「はい!」

 観客席はかなりの混雑ぶりだった。
 その中で、流斗さんは人混みからかばうように、背中へそっと手を添えてくれる。
 伝わる温もりに、胸の鼓動が落ち着かない。

 ほんと、まいっちゃうよね。こういうとこ。
 彼氏として言うことなしなんだから。

 ぼうっと見つめていると、流斗さんがふとこちらへと視線を向ける。
 目が合ってしまい、私は慌ててステージへと視線を戻した。