義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます


 次はどこへ行こうかと、ふたりでぶらついていると、廊下ですれ違った生徒からチラシを受け取った。
 そこに書かれていた「プラネタリウム」の文字に目をとめる。
 体育館でやっているらしい。

「行ってみませんか?」

「ええ、ぜひ」

 微笑むと、流斗さんはさりげなく私の手を握った。
 抑えきれない鼓動に、思わず視線を落とす。

 そんな私を見て、彼はふっと笑った。

 その笑みを横目に捉えながらも、私は繋いだ手をぎゅっと握り返すことができなかった。



 体育館の中は想像よりもずっと暗く、天井には無数の星が静かに瞬いていた。
 ドームいっぱいに広がる星々が、ゆっくりと流れ、まるで本物の夜空の下にいるみたい。

 学園祭の出し物でここまでのクオリティって、すごい……。

 流斗さんがそっと私の手を引く。
 そのまま導かれるようにして、彼の隣に腰を下ろした。

 しばらく星を眺めながら、静かな音楽とナレーションに浸る。
 ふと横を見ると、流斗さんの横顔が星の光に照らされ、やさしく浮かび上がっていた。

 綺麗……息をするのも忘れそうになる。

 はっとして、すぐに目をそらした。

 違う! なにやってんの、私。星を見に来たんでしょうが。
 自分にツッコミを入れて、慌てて気を引き締める。

 それに……私にはそんな資格ないもの。

 少し落ち込みつつ、そっと目線を上げる。
 瞬く星々が、やけにまぶしくて――胸の奥の痛みをそっと浮かび上がらせた。