義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます


「お、発見」

 そう言って、蘭の方へと向かっていく。

 何やら話し込んだあと、流斗さんは満足そうに笑って戻ってきた。

「了解が取れました。唯さんは私と行動を共にしていいそうですよ」

 へっ? あっさり通っちゃったの?

 思わず遠くにいる蘭を見つめると、彼女はにやっと笑って、ぐっと親指を立ててきた。
「OK、行ってきな」と心の声が聞こえた気がした。

 ……どうやって口説き落としたんだろう。

「さあ、リーダーのお許しも得たことですし、行きましょう。
 あ、その格好は着替えてからにしてくださいね。
 とても似合ってますけど……他の男の視線が気になるので」

 流斗さんが困ったように笑いかけてくる。

「あ、はい」

 私は着替えるため、更衣室へと向かった。
 やっとこの格好から解放されると思うと、ほっとする。

 ふと鏡を見ると、メイド服姿の自分。
 まあ、似合ってなくはないけど。
 この格好はやたら緊張感があるし、肩もこってくる。
 それに、何より着ていると恥ずかしい。

 こんなに早く解放されるのは、正直嬉しい。
 学園祭も回ってみたかったし、ラッキー。
 ……これも、流斗さんのおかげだな。
 頬がふわりと緩んだ。


 ――私は、流斗さんとふたりで学園祭を回ることになった。