――そう、思っていたはずなのに。

 なかなか切り出せないまま時は過ぎ、とうとう学園祭がやってきた。

 何度も言おうと思った。
 でも、流斗さんの笑顔を見ると、喉が詰まって言葉が出ない。

 蘭にもどやされながら、何度もトライしたけど、撃沈。

 私はなんて勇気がないんだろう。

 あの優しい笑顔が曇るところを見たくない。
 でも、それって私のエゴだ。

 気持ちはもう決まってる。
 早く言わなきゃ。誰も前に進めない。

 お兄ちゃんも、あの夜以来ずっと私を避けている。

 必要なこと以外は話さないし、目も合わせてくれない。

 こんな状態、もう嫌だ。