「でも、大丈夫かな。私ってバレないかな?
 それに、唯はずっと学校を休むことになるでしょ? みんな変に思うよ」

 私は不安でいっぱいで、潤んだ瞳で父を見つめる。

「はっはっは。僕を誰だと思っているんだい?
 大丈夫、だって僕は“理事長”だから」

 胸を張り、豪語する父。

 そう、私の父は何を隠そう、うちの学校の理事長なのだ。
 ……あんまりそうは見えないけどね。

「唯は体調不良ということにして、男の子の方は親戚とか従弟ということにすればいいよ。
 何かの事情で家に預かることになって、うちの学校へ転校することになったと。
 僕がすべて調整しておくから、唯は心配しなくていい」

 父は満面の笑みを浮かべる。

 そんなんでいいの?
 っていうか、まず元に戻る方法を必死で考えない?

 やっぱり、うちの家族は吞気すぎるよ。絶対に変!

 私は助けを求めるように兄へ視線を送る。

 だけど、兄もカラッとした様子で微笑み返してきた。

「まあ、いいんじゃない? 父さんがしっかりフォローしてくれるだろうし。
 唯もずっと一人で家に閉じこもったり、ふらふらしてる訳にもいかないだろ?
 ――そうだ、名前決めようぜ」