「おにい、ちゃん?」

 じっと見つめれば、兄も真剣な目で私を見返してくる。

「あの……さ」

 何かを言いかけたそのとき――

「うっ……」

 胸がぎゅっと締めつけられるように苦しくなる。
 発作だ。

「おい、大丈夫か!?」

 兄がすぐに私を支える。
 その胸にすがるようにしがみつき、苦しさの中で必死に声を絞り出した。

「だ、だいじょ……ぶ。い、つもの……発作、だから……」

 心配かけまいと笑おうとするけれど、うまくいかない。

 そのとき、兄の腕がためらいなく私を引き寄せた。
 ぐっと胸の中に抱き込まれ、背中に回された手が強く支える。

 驚きで息が詰まりそうになる――けれど、それ以上に発作の苦しさが勝ち、意識はそちらに引きずられていく。

「はぁ……っ、はぁ……」

 荒い呼吸と高鳴る鼓動。
 揺れる視界の中で、私はただ兄の温もりに身を委ねていた。