「あ、ごめんなさい。答えにくいよね」
何か察したように、蘭が急に視線を落とし、小さくつぶやく。
その様子があまりにも痛々しくて、私は慌てて答えた。
「い、いや。……綺麗な子、かな」
「本当? ねえ、私のこと綺麗だと思う?」
急に目を輝かせた蘭が、身を乗り出すように私との距離を縮めてくる。
え、どうしたの?
蘭の目が、だんだん熱を帯びていくような……。
「そうだな……うん、羽鳥さんは、綺麗だと思うよ。
ほら、男子からも人気あるし」
私は愛想笑いを浮かべながら、少し体を引き気味に答えた。
なのに、蘭は構わずもっと近づいてくる。
その美しい顔が、すぐ目の前まで迫っていた。
「優くん……私――」
