そして――次の競技が始まるまでの間、私は蘭の質問攻撃にあっていた。
人混みから離れた、体育館脇の階段にふたり並んで腰を下ろす。
座るや否や、蘭はマシンガンのように喋り出した。
けれどその口調はどこか上品で、時折見せる仕草も妙に愛らしい。
唯といるときには見せたことのない、乙女そのもの。
頬をほんのり染め、両手を膝の上にそっと揃え、ちらちらと私の顔を見上げてくる。
なんとも、複雑な気持ちだ。
こんなふうに蘭に見つめられる日が来るなんて、思いもしなかった。
蘭が優に想いを寄せていることは知っている。
でも、私はその気持ちに応えることはできない。
だったら、せめて誠意を込めて向き合おう。
だって、今の私にできることは、それだけだから。
