義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます


 変身してしまった私。
 このまま皆の前に姿を見せれば、混乱を招いてしまうかもしれない。
 いったいどうすれば――

 唯はどうする? 優はどんな理由で現れたことにする?

 頭の中がぐるぐる回って、すぐに答えが出ない。
 考え込んでいると、そっと優しい声が耳に届いた。

「唯さん……じゃない、優くん」

 はっとして顔を上げる。
 流斗さんが、私をじっと見つめていた。

「唯さんは、具合が悪くなって、そのまま帰ったことにしよう。
 優くんは、少し遅れて来たことにすれば大丈夫だよ」

 そう優しく諭され、焦っていた心が落ち着きを取り戻していく。

「……なるほど」

 確かに、それなら辻褄が合うか。
 さすが流斗さん。彼の言動はいつも的確で明快だ。

 自然と頷いていた。

「そうですね。はい、そうします」

 私の言葉に一拍置いてから、流斗さんが少し目を見開く。
 しかし、すぐにふっと苦笑するように表情をゆるめた。

 どこか自嘲めいた、申し訳なさそうな笑みだった。